さて、「離婚調停中ドキュメント」の終盤です。
前・中編のあらすじを簡単にご紹介します。
いしだたかこは夫と別居後、離婚を決意して離婚調停を申し立てました。
離婚調停での条件は、
①離婚すること、
②住んでいるマンションはいしだたかこが住み続けること、
③マンションの住宅ローンは夫が払っていくこと、
④夫に慰謝料を300万円請求すること、でした。
ところが、夫は離婚調停の場に弁護士を同行して現れ、調停委員を驚かせたのでした。
素手の格闘技に、モビルスーツで参戦するようなものです。
さて、後編のはじまりです。
調停では必要のない弁護士を、なぜ夫は依頼したのか?
弁護士に何を弁護してもらいたいのか? 何から守る? ・・・いしだたかこから?、か!
つまり、いしだたかこの要求をことごとく拒否し、自分の殻に閉じこもって権利を貫こうということです。
じゃあ、対抗するためにこちらも弁護士に依頼する必要があるのか?
「あんな、奥さん。ここは調停なんやから、ダンナさんが弁護士依頼したかて、奥さんまで依頼せんかてええんでっせ。そのために、わたしら調停委員がいるんやからな。裁判やないんやからな、わかっといてな」
いしだたかこの要求に対して、夫の意見を調停員が伝えてくれました。
「ダンナさんはな、離婚に関しては、離婚されてもしゃあないことをしてしもたんやから、これは異存なしと言うてはりましたわ。
住む場所かて、自分は生家に戻ってはるからええと。ただ、今は無職やから、住宅ローンは払っていかれへんねん。マンションは売ってしもて、ローンは売却代金でチャラにしたい、て言うてはります。
もし奥さんがマンションに住み続けんるんやったら、住宅ローンは奥さん一人で払うていって欲しいんや、ゆうことでしたわ。
慰謝料もなぁ、ほんま奥さんには悪いことしてしもたけど、やっぱり無職やから、払うことでけへん。ほとんど貯金もあらへんこと、奥さんも知ってはると思うよってにホンマ勘弁してほしい、言うてましたわ」
離婚は成立OK。
しかし、それ以外の条件は夫に都合が良すぎます。
無職、貯金なしを盾にして、「払えません」で通す気です。
確かに別居後の夫に、所持金らしいお金は無いでしょう。
弁護士と立てた弁解には説得力があり、覆すには裁判に持ち込む以外に事後策はなさそうです。
しかし、裁判に持ち込む価値があるのかを考えると、弁護士費用などの費用の面から言って結果に期待は持てそうにありません。
この離婚調停は結論が見えました。これ以上の進展は望めません。
ただ、いしだたかこの気持ちがおさまらないだけです。
親の金で弁護士費を依頼するくらいなら、その金で慰謝料としていくらか払えよ、と言いたいところです。
以後の離婚調停は、怒りの気持ち吐き出す場として利用させてもらうことにしました。
もう「クールな大人の女」なんて気取っていられません。
離婚調停を意地でも長引かせます。
・・・・精神的に夫をいたぶるサディスティックな楽しみ。
こちらは、半日の有給休暇が使えて収入もあるので、家庭裁判所への出頭は痛くも痒くもありません。
夫は長引いた分だけ弁護士費用もかかります。
離婚調停が終了しないと就職活動にも本腰を入れられないでしょう。
夫は親と同居しており、多分弁護士費用は親が出しているので、親元での居心地は悪いはずです。
えい、もっと苦しめ!
調停のたびに、自分の要求を述べ夫の言い分を拒否して、膠着状態を続けました。
精神を集中して闘志を全身にみなぎらせて調停に臨み、調停の開始時間を戦いのゴングとし、調停が終わればリングを降りる、そういう戦闘的な数ヶ月を楽しんでいました。
でも楽しいことは長く続かないものです。
最初の離婚調停からちょうど1年が過ぎようとしたとき、調停委員が突然判定を下してきました。
「もうこれ以上話し合っても進みませんよってに、調停委員の判断で決めさせてもらいまっせ。審判離婚ちゅうことですわ。離婚は成立、マンションは奥さんが住んで住宅ローンも奥さんが払う。ダンナさん、まだ仕事決まってませんさかいに、慰謝料は無しですわ。これで不服なら、次は裁判に行かはったらええんでっせ」
KO勝負ではなく、判定での幕引きとなりました。
離婚調停の後半から、「交渉の場」から「ファイティングスピリッツを楽しむ場」へと目的を変えています。
もとより裁判に進むつもりはありません。
これで終わりです。夫とも縁が切れました。
最後の調停を終えた後、その足で区役所に行き離婚届を出しました。
そして小さなケーキを買って帰りました。
≪いしだたかこの離婚の総括≫
離婚成立により、今後夫の尻拭いをさせられる心配はなくなった ・・・○
住む場所は確保できた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○
住宅ローンの負担が残った ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×
慰謝料はもらえなかった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×
仕事への影響はなくなった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○
独り者になってしまった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・×
もし住宅ローンや慰謝料が夫から得られたとしても、たいした得にならなかったようですね。
その後、マンションは売却して別の場所に引っ越しました。
ただ、夫婦問題・離婚カウンセラーの仕事に経験が活かせることでは、貴重な体験としてプラス評価です。
ながながとお読みいただき、ありがとうございました。
今まさに夫婦問題でお悩みの方、いしだたかこがお力になれることもあるかと思います。
どうぞ遠慮なさらずに、安心してご相談下さい。