モラハラとサラミ戦術<上>より続く
「サラミ戦術」という言葉があります。
外交などの交渉の場で、少しずつ相手の譲歩を引き出しながら自分に有利につなげていく方略です。
サラミソーセージをごく薄く削いで食べていき、最後には完食する様子に似ていることから名づけられた戦術です。
さて、夫婦間のモラハラの背景にもこのサラミ戦術が隠れている場合が往々にしてあります。
モラハラにおいてこのサラミ戦術がやっかいなのは、イソップ物語のオオカミ少年と似ているからです。
穏やかで良識のあるモラハラ被害者は、「モラハラ加害者の行為に理解を示し、逆に自身の行為の非を認めるようなこと」を周囲の人に語ったこと(愚痴を含む)があると思われます。
困った状況になって周囲の人に相談しても、周囲からは被害者が加害者を誘発したのだと思われます。
また自分でも、不満に思うのは自分のわがままなのではないかと罪悪感を持つこともあります。
それは従前被害者自身が問題に対して「モラハラ加害者の行為に理解を示し、逆に自身の行為の非を認めるようなこと」を言って結論を下しているからです。
でも「やっぱりおかしい」と思ったら、それは不自然なことが起きているのです。
オオカミ少年は不幸な結末になりましたが、あなたが不幸な結末を迎える必要はないのです。
あなたの尊厳がサラミを薄く削ぐように失われていないか、思い出して下さい。
もしサラミ戦術に嵌っていれば、客観的に俯瞰する目を持って問題を解決していきましょう。
自分の中のボーダーラインをしっかり持っておくことが重要です。