人は時としてとても冷酷になったらり、邪悪なことも平気で行うことがあります。
それをその人の個人の資質からくるものなのか、それともそういう環境に置かれたからそうなったのか…といことを実験で証明させようとした人がいます。
かれこれ50年近く前に、アメリカのスタンフォード大学の心理学教授であったフィリップ・ジンバルドーという人です。
「スタンフォード監獄実験」という言葉を聞いた人もいると思います。
大学生をランダムに看守役と囚人役に分けて数日間生活させるという実験で、それまで培ってきた倫理観や道徳観に関係なく、自分の置かれた立場・環境によってその考え方や行動が大きく影響を受けてしまうということが明らかになったのです。
いじめや虐待など、人を支配するのも支配されるのもたまたまそういう立場にいた、という程度の偶然であったりとか…
追い詰められた挙句に、普段では考えられないような残酷なことをしてしまったりとか…
強制的に自信を喪失させられることで、強い罪悪感を持ってしまったりとか…
何かによってその人の善良さがいとも容易く奪われてしまうということは、結構日常生活と隣り合わせになっているのかも、と思わざるを得ないことがこの本に記述されています。
さてこのフィリップ・ジンバルドー教授がスタンフォード監獄実験について執筆した本があります。
『ルシファー・エフェクト 普通の人が悪魔に変わるとき』というタイトルです。
(ジンバルドーという名前も、なんだかおどろおどろしい響きですね)
人物描写や心理描写がじっくり表現されていて大変面白い内容なのですが、なにせ本自体が重くて肩が凝ります。
本文だけでも753ページあり、原注も入れると807ページに及ぶ大作です。
本の厚みは5センチはあります。名刺の縦辺よりも高いです。
ちなみにいしだはこの本を読んで、生まれて初めて「耳たぶまで凝る」という経験をしました。
心理学にご興味がある方は是非読んでみることをお勧めします。