離婚に関するお問合せや、ご相談事例をわかりやすくまとめてあります。
なお、文中の登場人物の名前、年齢、職業は事実とは異なります。
世界では宗教上の対立が紛争にまで発展しますが、夫婦間でも例外ではありません。
日本では信教の自由が認められていますから、誰が何を信仰しようが自由です。夫婦だからといって強制や禁止はできません。
夫婦双方が同じ宗教観を持っていれば何の問題もないでしょう。
しかし異なる宗教の信者同士であったり、一方は熱心な信者で、もう一方は無神論者である場合は話しがややこしいですね。
信者&非信者のカップルのケースです。
長い交際期間を経て結婚したカップル(子供なし)で、ご主人からの相談です。
ご主人はご両親ともに初詣と葬式以外は特に宗教や信仰に縁のない方。
もともとご主人のご両親はこの結婚に反対だったそうです。
理由は奥様とそのご両親が、ともにある宗教の熱心な信者であるからです。
最近両親から子供はまだかと言われるようになり、それに伴って奥様への信仰に対する風当たりも強くなってきており、板挟みで苦しい思いをしていらっしゃるとのこと。
「妻とは恋愛でした。妻の人柄に惚れて結婚したんです。妻は僕に信仰を押し付けることもないですし、その宗教も妻を通じて理解しているつもりです。
でも僕の母が、妻の実家と顔を合わせたり、僕が妻の実家を訪れるのをヒドク嫌がるんです。
僕が洗脳されて信者になるのを心配してるんでしょうね。
僕の母は、妻が子供を産んだら面倒を見るから仕事を辞めずに続けろって言うんですけど、孫は妻の実家に渡さないぞって構えなんです。こんな調子で子供が出来たらどうなるのかなって・・・」
よくよくお話しを聞いていくと、ご主人の勘違いが見えてきました。
ご主人のご両親は、宗教そのものや信仰活動が気に入らないのではないのです。だから、お嫁さんにも信仰をやめろというつもりもありません。
ただ自分達非信者の「信仰しない自由」が脅かされることを心配しているのです。
もちろん信仰を押し付けられたくないし、宗教に則る規範を、自分達の生活圏に持ち込んでほしくないと考えているのです。
宗教に対して嫌悪感や不快感を持つ人も少なくありません。ご主人のご両親はそういうタイプの方たちなのでしょう。
ご両親は宗教の存在を受け入れていらっしゃるようなので、ここは信者側も非信者を不快にさせない信仰の仕方を考える必要がありそうですね。
一般的にどちらかの親族から反対された結婚は、どうしても離婚のリスクが高まります。
長い結婚生活をしていく上で、障害や困難が予測されることを人生の経験者である親は分かっているのです。
しかしその困難を二人で乗り越えられたら、夫婦の絆はもっと強いものになります。
まだ若いご夫婦です、協力し合って乗り切っていって下さいね。
最近増えてきている、女性からの離婚希望のご相談事例を紹介いたします。
目元パッチリの美女、年齢は30代前半のC子さん。
学生時代のボーイフレンドと結婚してもうすぐ10年、子供はいません。
「夫に特に不満はないのですが、最近夫がとても未熟で頼りなく思えてきて、これ以上一緒にいてもどうなんだろうって思うんです」
「そのことに気がついてしまうと、こんな気持ちのまま過ごすよりは、いっそ離婚してお互い新しい道を進んでもいいのかなぁ」
「だから、今はできるだけ夫とは関わりを持たないようにしています」
C子さんは離婚する気満々です。・・・お互いの人生のために。
しかしよく話しを聞いていみると、やっぱりC子さんの異性問題です。
お相手はC子さんよりかなり年上の、妻子ある男性。
この男性は若くして出世した大会社の役員。
妻との結婚生活はうまくいっていないが、妻が離婚に応じる気配はないそうです。
この男性はC子さんとの将来像を語ってくれています。
ここまでなら、まずよくある話です。
そして、実際C子さんも相手の男性もそれぞれが離婚すれば、この二人は一緒になれます。
現在では家庭裁判所も離婚に関しては「破綻主義」をとっていますので、夫と妻どちらに非があろうとも、夫婦関係が破綻していたらまず離婚は認められます。
あとは、慰謝料や財産分与、親権など双方が納得する形で決着をつけるだけのことです。
いしだたかこは以下のように申し上げました。
あなたはどうあっても離婚をなさるでしょうから、それならば夫が嫌いになったから離婚するのではなくて、他に好きな人が現れたから離婚するのだという自覚を持って下さい。
夫にも夫のこれからの人生があるのですから、決して夫に非があるように申し立てたり、プライドを深く傷つけるような事はしないであげて下さい。
しかしC子さんは、いざ覚悟を決めようとすると迷います。
「夫にも他に好きな女性がいたらいいんですけど・・・・」
「相手の男性は奥さんとちゃんと別れてくれるかしら。愛人というのはイヤなんです」
「自分の親は心配すると思うんですけど、どう説明したら自分の気持ちを理解してもらえるかしら」
いしだたかこは更に申し上げさせていただきました。
あなたの気持ちの変化が発端ですよ。
夫に女ができたら自分が悪者にならなくて済むとか、自分が損しないようにとは、ムシがよすぎます。
どういう理由があるにせよ、大事な娘が離婚すると言ったら、親が心配して泣くのは当然です。
本来離婚と言うのはつらくて苦しいものなんです、甘えていてはいけません。
だから結婚より離婚の方が大きなエネルギーを必要とするのです。
今あなたは相手の男性に対する恋愛感情が先走っていらっしゃるようです。
気持ちが落ち着くまで少し時間を置いて、それでも離婚の決意が変わらなければ、そのときに親にも話しをしてきちんと離婚の手続きをお取りなさい。
再婚して幸せがつかめるかどうかは、あなたと相手の男性のこれからの行動しだいです。
人生80年、親と過ごす時関よりはるかに長い時間をパートナーと過ごすのです。
パートナーと末永くというのが理想ですが、苦しい思いをしながらの結婚生活に疑問を抱いてもしかたありません。
乗り越えられるのであれば、夫婦の危機に立ち向かっていって欲しいと願います。
幸せの特効薬はありませんが、危機を乗り越えた後には、夫婦の絆が深まっているのは確かでしょうから。
熟年離婚とは15年以上連れ添った夫婦が、夫の定年などをきっかけに、本格的な老後を迎える前に離婚するというのが大方のイメージだと思います。
「夫が一日中家にいるようになって、気が休まるヒマがありません」
「夫が家にいることを望むので、友人との外出ができなくなりました」
「近所への買い物はもとより、どこへ行くにも夫が一緒についてくるので束縛されているようです」
「夫が掃除や洗濯についてこまごまと口を出してくる(でも手は貸さない)ので、閉口しています」
長い夫婦生活の中で、多少の不満やトラブルはあっても乗り越えてきた夫婦です。
夫は仕事ぶりも真面目で、尊敬すべき人格の持ち主である方がほとんどです。
そして妻はちゃんと家庭を支えて来られた忍耐強い方です。
その理想的な夫婦が、なぜ夫の定年や夫の失職がきっかけで離婚の危機を迎えるのか。
収入など、経済的なことが問題なのではありません。
長年当たり前に暮らしていたので、夫婦それぞれの生活スタイルが違っていることに気がついていないことが問題なのです。
普段自宅にいることが少ない夫が日常的に自宅にいることで、妻のプライバシーに過干渉しているのです。
もともと真面目な夫は、仕事に向けていた情熱を家庭生活に向けるようになって、妻の創り上げてきた生活リズムを乱しているのです。
もともとうまくやってこられた夫婦なので、問題を離婚で解決するには失う物があまりにも多すぎます。
夫がもてあましている時間や情熱を、再就職や趣味・地域社会活動などへソフトランディングできるよう、妻の手助けが必要かもしれません。
そして、妻は上手に自分の時間を見つけていくようにして下さいね。
ただし、上記のように再生できる夫婦ばかりとは限りません。
夫婦のどちらかが長年一方的に我慢してきたのであれば、夫の定年などを期に「人生のやり直し」を望むかもしれません。
それにつてはまた改めて掘り下げたいと思います。
【ご相談内容】
東北地方に住むY美さん(専業主婦)は23年前に結婚したものの、結婚2年目から夫(公務員)がうつ病を患い、最近は症状がさらに悪化して休職中。
夫の顔色をうかがって生活することに疲れたY美さんは、大学生と高校生の子供を連れて別居。
夫は離婚には反対も賛成もしていないが、この状態で離婚できるのか、また離婚した後に、子供の学費や慰謝料などの経済的な援助を夫から得られるかを心配しています。
【Y美さんへのアドバイス】
Y美様、ご結婚の直後からご主人のご病気と向き合い、その中で二人のお子様を育て、ご苦労は並大抵ではなかったとお察しいたします。
Y美様が別居に踏み切ったのは正解だったと思います。
このままでは家族がバラバラになり、Y美様自身も共倒れになりかねません。
ご決心のとおり、離婚をなさった方がよろしいかと思います。
離婚に際してご主人の同意を得ることが難しければ、家庭裁判所での離婚調停の利用もできます。
病気の期間が結婚生活の大半を占めていること、子供たちに与える影響などを調停委員にしっかり説明してみて下さい。
ご質問の件ですが、離婚に際してお子様たちの大学卒業までの学費を養育費として払ってもらうことは可能だと思います。
しかし、慰謝料に関しては期待できません。
離婚の理由がご主人のご病気であり、故意や落ち度にあたらないからです。
ただ、ご夫婦で築いてきた預貯金や不動産などの共有財産があれば、財産分与として全財産の二分の一を請求することができます。
共有財産にはご主人の退職金も含まれます。
ご主人の定年退職まで10年以上ありますので、この期間が長いか短いかは恵子さんの感じ方次第ですが、定年の日まで半別居状態で乗り切るのも一つの方法であることを申し上げておきます。
離婚調停ではなく、夫婦の話し合いによる協議離婚となった場合は、養育費等の決めた事を公証人役場に出向いて執行認諾約款付き公正証書を作成しておくと良いでしょう。
それでもY美様の今後の生活を考えると、仕事に就くなり、収入確保の道を探す必要があるといえます。
今からでも手に職をつけるための勉強を始めたり、実際にパートでもいいので仕事をなさることをおすすめします。
離婚に向けての行動は、当座の生活費としての貯金ができるか、ある程度の収入の目処がついてからでも遅くありません。
尚、離婚してもお子様たちとご主人の親子関係は続きます。
将来子供が父親の面倒を見るかどうかは子供の意志を尊重して下さい。
子供たちとご主人が断絶しても、あなたに責任はありません。
病気のご主人を薄情にも見捨てるのでは、という罪悪感をお持ちかもしれませんが、Y美様はすでに充分すぎるほど家族のために闘ってこられました。
これからはご自身の幸せを第一に健やかにお過ごし下さい。
★★ 離婚調停中の男性PPさんからのご相談です ★★
奥様との関係が険悪になり、奥様の挑発に乗るような形で手を出してしまったPPさん。
奥様はDV(ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力)を受けたと警察に保護を求め、子供を連れて家を出て行ってしまった。
離婚調停では、奥様は離婚と子供の親権を主張。
もともと奥様が家計管理をしていたが、国民保険料や各種料金など滞納や未払いが原因で夫婦喧嘩になることも。
PPさんにとっては奥様からの態度や言葉での侮辱の末の手出し(暴力)にもかかわらず、一方的にDV加害者の扱いを受け、別居後には奥様の借金も発覚し、「どちらが被害者なのか」と憤りを感じている。
◆◆◆ いしだたかこからのアドバイスです ◆◆◆
PPさんの悔しい気持ちがよく伝わってまいりました。
しかし、ここは夫婦問題・離婚カウンセラーとして感じたことを「女性の観点」から述べさせていただきます。
PPさんご夫婦の性格や行動の善悪は一旦、脇に置いて考えます。
すると見えてくることは、まず奥様は結婚生活を続けるつもりはないということです。
お話をお伺いした限りでは、以前からその考え(離婚)はあったと思います。
そして、自分に有利に離婚が運ぶように、DV法を利用なさったのではないでしょうか。
もしDV法で奥様が保護されなかったとしても、奥様は別の方法でPPさんを悪者に仕立てて離婚話しを持ち出していたと思われます。
奥様には離婚後の生活の計画がすでに出来ているのでしょう。
保険料の滞納や借金などについては、PPさんご夫婦の家計状況がわかりませんのでなんともいえませんが、PPさんの収入の範囲内でのやりくりが難しかったのか、奥様が単なる浪費家であったのかは、人によって判断が分かれるところです。
ただ、奥様が個人的な消費目的で借りた奥様名義の借金であれば、夫婦であってもPPさんが払う必要はありません。
名誉の挽回(DV加害者という冤罪を晴らす)なのか、子供(親権)なのか、離婚回避なのか、ご自身のなかで問題点に優先順位をつけて整理してみて下さい。
もしPPさんがお子様の親権を取りたいと願っていらっしゃるのなら、調停の場で以下の3点を粘り強く主張なさることをおすすめします。
① 奥様の金銭感覚のルーズさを示す客観的資料を提示する
(いつ、どの支払いを、いくら滞納したのかがわかるもの、メモでもかまいません)
② 生活費を稼ぐ能力がPPさんにあることと、仕事中の子供の面倒を見る人(親きょうだいなど)が身近にいることを訴える
③ 子供に対して手を上げたことがないことを主張する
調停が不調に終われば次は裁判ですが、このケースの場合は争点を親権だけに的を絞ったほうがいいかもしれませんね。
奥様の離婚の意志は固く、また金銭的な充当を奥様に求めても不可能だと思います。
それでも子供の年齢によっても親権が母親に決まることは多いのが実情です。
子供の健やかな成長のためには、PPさんが養育する方が望ましいということを、あきらめずに交渉してみて下さい。
最後は根気比べになってくると思います。
出口のないトンネルはありません。
解決の日が訪れることを祈っております。
僕はとても恵まれていて、幸せなんだと思います。
世の中は不景気が続いていますが、おかげさまで僕の仕事は順調です。
数年前に脱サラして会社を興したのですが、取引先にも恵まれ、先日も大きなプロジェクトを成功させたところです。
従業員もいるので、トラブルがなければ時間の余裕はたっぷりあります。
だから、脚の悪い老親の世話も僕がしてるんです。ご飯作ったり、病院に連れていったりね。
僕を大きくしてくれたのはやはり両親ですから、親孝行ができることを有り難く思ってます。
趣味はロハスな生活ってやつですかね、自然環境に恵まれた場所でひとりボーっとしたり、たまに俳句を作ることもありますよ。上手くはないですけどね。(笑)
妻とは恋愛結婚です。
女房はね、僕が言うのもなんなんですが、しっかり者で美人だと思います。結婚するときはライバルがいて、僕が最終的に勝利したようなもんです。女房はキャリアウーマンで、僕とは別に仕事に就いて、今は管理職になってます。定年まで頑張るって言ってますよ。
子供は一人、もうすぐ大学卒業です。親の役割ももろそろフィニッシュですね。
ホント、僕は恵まれていて運も強いほうだと思います。
でもね、満足していないんですよ、結婚生活に。
夫婦の仲は悪くありません。女房はちゃんと仕事をして、家族にも目を向けている。悪い妻じゃありません。
でもね、僕の望む日常生活というのは、違うんです。
朝、窓を開けたら太陽の日差しと新鮮な空気を部屋に取り入れ、すがすがしい気持ちで一日を迎える。
ごはんは食事の都度ちゃんとお米を炊いて、味噌汁は丁寧に出汁をとる。
ごちそうじゃなくてもいいんです。
しかし実際は女房も仕事をしているので、どうしても食事には手間隙かけていられません。掃除だって毎日というわけにはいきません。
もちろん、僕もできる限りの家事はしてますけどね。
結婚してたら、そんな些細な希望もかなえ難いのかなって、虚しくなるんですよ。
子供が大学に入ったとき、女房に離婚を切り出して見たんですよ。
でも女房は離婚する気はまったくないようで、とりあってくれませんでした。
わかってはいるんです、僕の一方的なワガママだってことは。女房に悪いところはありませんから。
僕はこれからどうしていったらいいのかなあ・・・・。
えっ、仕事ですか?
はい、僕は確かにいしだ先生の言うとおり目標に向って突っ走ってるときが一番充実感に満たされます。
う〜ん、そうか、確かに仕事がひと段落して気が抜けちゃったのかもしれないなぁ。
え?具体的な次のプロジェクトじゃなくて、ビジネス上の新しい課題を作るんですか。
あ〜、あ、なんか見えてきました、僕。
そうだ、近々業務提携の話しがあるんですよ、人材育成と社会貢献の時期に来てるのかもしれない。
以前からアイディアもあって、やってみたかったことでもあるんです。
どこまでできるかわからないけれど、着手してみます。
女房との離婚のことは、またゆっくり考えることにします。
本日はありがとうございました。
40歳代のY男さんは妻と恋愛結婚して10年ちょっと。
子供にも恵まれ、マイホームも手にいれました。
ある日、妻から突然離婚して欲しいと言われました。
Y男さんは真面目なサラリーマンで浮気、借金、暴力とは無縁の生活ぶりです。
Y男さんが妻に理由をただしても、「離婚して人生をリセットしたい」というばかり。
慰謝料も、財産も何も要らないから離婚して欲しい、と妻。
このように理由もなく突然離婚を切り出す場合、浮気相手が隠れていることが多いのです。
Y男さんはマサカ!思いましたが、浮気の線を探ることにしました。
妻の携帯をこっそり見てみると、はたしてY男さんが知らない電話番後が登録してあります。
そして、夫であるY男さんよりはるかに頻繁に通話している形跡が残っていました。
知人女性に依頼して、間違い電話のふりをしてその電話番号に架けてみました。
電話番号の相手はやはり男性でした。
知人女性が上手に演技をしたので、苗字を聞き出すこともできました。
Y男さんはとてもショックでした。
Y男さんはその男性と面識はありませんが、その名前は時折妻との会話に出てくる人物です。
妻に問いただすと、妻は開き直って浮気を認めました。
そして、離婚が決定的なものになりました。
この妻の場合は、浮気の証拠対策を殆どしていません。
罪悪感が薄いのでしょうか、Y男さんとの結婚生活にすっかり見切りをつけていたのでしょうか。
人の携帯電話を勝手に見るのは確かに「プライバシーの侵害」と言われるでしょう。
しかしこのようにパートナーが浮気していた場合、やはり浮気の方が有責度は高いです。
パートナーに浮気の疑惑があれば、悩んでいないで自分で調べるのは有効な方法といえます。
ただし、証拠をつかんだ後、自分はどうしたいのかという覚悟も必要です。
★★ 恋愛結婚して5年目の女性、L子さんからのご相談 ★★
年下で会社員の夫(20代)と、L子さん(30代)の二人暮らし。子供ができたらL子さんはパートの仕事を辞める予定。
将来マイホームも持ちたいが、夫との金銭感覚の違いが目下の悩み。
夫は生活費として必要な分をL子さんに渡しているが、貯金をしようとしない。
夫の実家が借金の返済で問題を抱えたことをきっかけに、貯金を決意。しかし相変わらず貯金する気配なし。
なぜ?と問い詰めると、「車(仕事用)を買い換える予定もあるし、貯金もなんて無理!」と逆ギレ。
未だに貯金ができていない状態が不安になったL子さんはいっそ離婚して堅実な生活をと思う。
だが、今後経済的に自立できるのか、また今後再婚できるのか自信がない。
どうしたらよいか途方にくれている。
◆◆◆ いしだたかこのアドバイス ◆◆◆
L子さん、お忙しい中メール相談をいただきまして、ありがとうございます。
貯蓄のことでご主人と意見が合わず、お焦りになる気持ちがよく伝わってまいりました。
世の中の夫は妻の収入に関係なく、給料をすべて妻に渡して妻に家計管理を任せるタイプと、必要な生活費だけを妻に渡して自分で家計を把握するタイプに大別できるようです。
ご主人はおそらく後者だと思います。
L子さんが堅実に貯蓄をして将来に備えようとしているのに対して、ご主人は貯金を優先するより、日々の生活を充実させたいとのお考えかもしれません。
不測の事態に備えて貯蓄に励むアリ型ではなく、今生きていることを楽しむキリギリス型といったところでしょうか。
ご主人はもともと貯金の習慣を家庭の中で身につけてこられなかったのかもしれませんね。
ただ、ご両親の借金問題を目の当たりにして、貯蓄の重要性は認識しておられるようです。
これから貯金体質に改善できる余地はありそうです。
ところでL子さんは貯蓄の目標額を決めていらっしゃるのでしょうか。
L子さんの貯蓄プランは、貯金の習慣のないご主人からしてみればウォーミングアップなしでいきなりフルマラソンに挑戦するようなものかもしれませんよ。
まずは月に1〜2万円くらいの少額で、給与天引きなどを利用して強制的に貯金する方法から始めてみてはいかがでしょうか。
時間はかかりますが、着実に貯めるられます。
一方、月々の余ったお金を貯金に回すのは金額も不安定で継続しにくいので、自動車や耐久消費財の購入や旅行といった、具体的な目的のための一時プール金と割り切った方がいいかもしれません。
ご主人は家事にも協力的で普段は仲が良いとのこと、まず問題のない夫婦です。
貯金は多いに越したことはありませんが、ご主人の収入も安定しておりちゃんと生活していらっしゃるので、貯金のために生活の楽しみやゆとりを犠牲にする必要はないですよ。
最初、Y子さん(40代後半)が尋ねて来られたときは、ため息まじりで、暗い表情でした。
長男は大学を卒業して遠方に就職、勤務する会社で重役のご主人と、専門学校生の長女との3人暮らし。
会社ではデキるビジネスマンのご主人も、家ではかなりの暴君。特に妻であるY子さんに対しては、言葉の暴力、態度の暴力、そして実際に手を上げることも多いそう。
Y子さんは、本来外で仕事をしていたかったのですが、ご主人の希望で長く専業主婦でした。ずっと自分の気持ちを押しとどめ、我慢してきたため、心療内科に通っていました。
「お母さん!もう十分お父さんに我慢してきたんだから、好きにしてもいいよ!」
ある日長女からの力強い励ましで、自分の世界を取り戻す決意をしました。
働くことが好き、仕事をみつけよう!と。
ハローワーク通いが始まりました。勉強熱心なY子さんは販売職の資格に挑戦するとこにしました。
とにかく社会に出たかったY子さんは、待遇にこだわらず、パートタイムで個人商店に通うことにしました。
ここからY子さんの人生は好転していきます。
資格に合格した頃、別のショップから引き抜きの声がかかりました。
新しい職場で頼りにされて働き、仕事が楽しくて仕方ありません。
自分に自信を取り戻したY子さんは、思い切って離婚届をご主人に突きつけました。
ご主人は離婚に同意しました。
でも、今も同じ家にご主人と長女と3人で暮らしています。
ご主人の暴力は止みました。
Y子さんが家を出ようと思えばいつでもできます。
Y子さんは自信を取り戻したのと同時に、自由と尊厳も手に入れたのです。もちろん収入も。
Y子さんは以前とは見違えるほど明るく変わりました。白い歯を見せて笑うY子さんはとてもチャーミングです。
離婚はしたものの、きっとご主人はY子さんを手放せないでしょう。
でももうY子さんは大丈夫。
離婚で全ては解決しないけれど、自分で決意をし、行動することで人生を変えていくことができるのです。
自分が変わることで、相手や状況を変えてしまったY子さんを見て、いしだたかこは女性のしなやかな強さを改めて認識しました。