【ご相談内容】
東北地方に住むY美さん(専業主婦)は23年前に結婚したものの、結婚2年目から夫(公務員)がうつ病を患い、最近は症状がさらに悪化して休職中。
夫の顔色をうかがって生活することに疲れたY美さんは、大学生と高校生の子供を連れて別居。
夫は離婚には反対も賛成もしていないが、この状態で離婚できるのか、また離婚した後に、子供の学費や慰謝料などの経済的な援助を夫から得られるかを心配しています。
【Y美さんへのアドバイス】
Y美様、ご結婚の直後からご主人のご病気と向き合い、その中で二人のお子様を育て、ご苦労は並大抵ではなかったとお察しいたします。
Y美様が別居に踏み切ったのは正解だったと思います。
このままでは家族がバラバラになり、Y美様自身も共倒れになりかねません。
ご決心のとおり、離婚をなさった方がよろしいかと思います。
離婚に際してご主人の同意を得ることが難しければ、家庭裁判所での離婚調停の利用もできます。
病気の期間が結婚生活の大半を占めていること、子供たちに与える影響などを調停委員にしっかり説明してみて下さい。
ご質問の件ですが、離婚に際してお子様たちの大学卒業までの学費を養育費として払ってもらうことは可能だと思います。
しかし、慰謝料に関しては期待できません。
離婚の理由がご主人のご病気であり、故意や落ち度にあたらないからです。
ただ、ご夫婦で築いてきた預貯金や不動産などの共有財産があれば、財産分与として全財産の二分の一を請求することができます。
共有財産にはご主人の退職金も含まれます。
ご主人の定年退職まで10年以上ありますので、この期間が長いか短いかは恵子さんの感じ方次第ですが、定年の日まで半別居状態で乗り切るのも一つの方法であることを申し上げておきます。
離婚調停ではなく、夫婦の話し合いによる協議離婚となった場合は、養育費等の決めた事を公証人役場に出向いて執行認諾約款付き公正証書を作成しておくと良いでしょう。
それでもY美様の今後の生活を考えると、仕事に就くなり、収入確保の道を探す必要があるといえます。
今からでも手に職をつけるための勉強を始めたり、実際にパートでもいいので仕事をなさることをおすすめします。
離婚に向けての行動は、当座の生活費としての貯金ができるか、ある程度の収入の目処がついてからでも遅くありません。
尚、離婚してもお子様たちとご主人の親子関係は続きます。
将来子供が父親の面倒を見るかどうかは子供の意志を尊重して下さい。
子供たちとご主人が断絶しても、あなたに責任はありません。
病気のご主人を薄情にも見捨てるのでは、という罪悪感をお持ちかもしれませんが、Y美様はすでに充分すぎるほど家族のために闘ってこられました。
これからはご自身の幸せを第一に健やかにお過ごし下さい。