G朗さん(男性・30歳代・会社員)は数年前に結婚して、今は専業主婦の妻(30歳代)と小学生と保育園に通う子どもと4人暮らし。
おととしG朗さんは仕事ぶりが認められて昇格し、チームのリーダーとなりました。
仕事の面では大変充実していたのですが、家では妻とのケンカが絶えません。
ケンカの理由は、G朗さんが妻から家事・育児への貢献度が低いと責められているとのこと。
昇格した分、給与も上がり、同時に責任も増えたので、どうしても自宅で過す時間は少なくなります。
なんとか時間をやりくりして熱を出した子どもを病院に連れて行ったりしていたそうです。
それでも妻からは感謝もされず、妻への気持ちが冷めていくことを自覚するようになりました。
昨年、G朗さんのチームに配属されたHさんは中途入社の女性社員です。
H代さんは飛びぬけて有能な社員ではありませんが、上司であるGさんの指示を忠実にこなす仕事ぶりに好感を持っていました。
最初ははずみであった、とのことですがG朗さんとH代さんは秘密の交際へと発展しました。
G朗さんのうっかりミスをH代さんの機転でカバーできたり、突然の残業も厭わない穏やかなH代さんは、G朗さんにとってかけがえのない女性になっていきました。
「妻と結婚したとき、自分はまだ未熟者であった。
そんな自分が妻を選んで結婚したのは失敗であった。
いま仕事で認められるようになり、人を見る目もできてきたと感じている。
H代さんも自分を好いてくれており、H代さんこそが結婚相手として理想的だと思っている。
ケンカが絶えない妻とは離婚を考えている。
子どものことは妻の考えに委ねたい」
※ ※ ※ いしだたかこのアドバイス ※ ※ ※
のぼせていないで、頭を冷やしなさい。
あなたが考えるべきことを2つ、申し上げます。
●ひとつめ、H代さんについて
そもそもH代さんにとって、あなたは上司です。
あなたが強く愛しているH代さんの穏やかな性格、機転を利かせてくれるところ、あれこれ求めないところなどは、部下として当然の態度です。
職場でH代さんはあなたに従うのは当然ですし、上司に気に入られたいと思うのは男女に関係ありません。
H代さんもあなたを愛しているようですが、もしあなたが今の会社から転職して、H代さんが社内に残っても、H代さんは同じ態度で接してくれるでしょうか。
H代さんが利己的な人とまでは言えませんが、上司であるあなたと特別な関係でいるのはH代さんにとってもメリットがあることでしょう。
そこを自分の魅力や愛情の強さとカン違いしないことです。
●ふたつめ、子どものこと
「家族のために一生懸命働いているお父さん」だとお子さんたちは思っていたことでしょう。
しかし離婚して職場の不倫相手と再婚しました、というのであれば子供たちの目には「お父さんは家族のためではなく、好きな人が職場にいるから出勤していただけじゃないか」と映るでしょう。
その挙句に片方の親を失うことになるのですから、子どもにとってはショックが大きく災難以外の何物でもありません。
そして本当に聡明な女性は、既婚者・子持ちの男性を離婚させてまで結婚したがるでしょうか?
あななたたちのしていることは、客観的に見れば社内不倫です。
不貞行為での離婚であれば、妻から慰藉料を請求されますし、これから20年近く子どもの養育費を負担しなければなりません。
再婚相手に子どもが生まれた場合、手もとにいる子は可愛いが、離れている子への関心は小さいというのでは、親としての責任が問われます。
子どもをあなたが引き取ったとしても、突然母親になるH代さん、突然実母から引き離される子どもたち、どちらも幸せへのハードルが高いです。
妻はあなたの不貞行為に気付いています。
だからあなたにあれこれ用事を言いつけて、密会の時間を与えないようにしているのです。
一刻も早く頭を冷やし、妻との関係を改善させることが先決です。
H代さんが素敵に感じられたのは、H代さんが上司の指示をよく理解しようと、しっかり耳を傾けていたからです。
人は誰でも自分の言葉を一生懸命聞いてくれる人に好意を持ちます。
妻とのケンカの背景には、「G朗さんが話を聞いてくれない」という不満も必ずあるでしょうから、H代さんのように、妻の言葉を(途中で遮らずに)最後まで聞くことから
始めて、妻の信頼を得て関係改善の一歩にして下さい。
あなたが今しようとしていることは、誰も幸せになりません。