いく度かの話し合いを経て、やっと離婚の合意に達した。
協議書も交わし、共有財産の手続きも進んでいる。
離婚後の新しい生活の目途もついた。
さぁ、あとは子どもに「親の離婚」をどう説明するか。
子どもの年齢にもよりますがこの段階で、すぐに報告すべきという人と、数ヶ月~数年経ってから(生活が落ち着いてからまたは子どもがある程度の年齢に達してから)報告するという人に考え方が分かれると思います。
結論は、言葉が理解できない乳幼児を除いては、すぐに報告した方が良いです!
幼児でも、両親のなんとなく不自然な様子は心で感じ取っているものです。
ましてや就学年齢に達している子どもならなおさらで、親に気を使って気付かないふりをしている可能性すらあります。
親の離婚は子ども自身に直結する大きな問題です。
どうせ子どもには理解できない、知らない方が幸せだというのは親のエゴです。
親がちゃんと説明をしないことは、子どもにとっては「現実を受け入れる能力がないと思われている」、「親から信用されていない」というサインになります。
子どもが理解できる言葉で説明をするのは親としての責任です。
それをしないと子どもが事実を知ったときに、親から裏切られていたと感じ、のちの親子関係を損なうことになりかねません。
子どもの敏感さにはハッとさせられるエピソードがあります。
その若い母親は生後8ヶ月くらいの赤ちゃんを胸に抱いていました。
赤ちゃんに刺激を与えないように、いしだたかこは静かな口調でその母親に話をしました。
赤ちゃんはおとなしく母親に抱かれています。
やがて母親はいしだたかこの話しに真剣に耳を傾けて聞き始めました。
その直後から、赤ちゃんはぐずり始めて泣き出しました。
今までおとなしくしていた赤ちゃんが急に泣きだしたので、その母親は「何が起きたのか」と慌てていました。
いしだたかこは正面に座っていたので、母子の様子は終始見えています。
赤ちゃんが泣きだしたのは、母親の意識が赤ちゃんから離れて、いしだたかこの話しに向けられた直後だったのです。
赤ちゃんは、自分への注意が離れたことを敏感に感じ取って理解していたのです。
だから再び母親の関心を自分に引き付けるために泣き始めたのです。
母親があやし始めると泣き止み、赤ちゃんを揺すりながらいしだたかこの話を聞くと、その間中おとなしくしていてくれました。
幼児でもそうです。
母親の意識が子供から離れた途端、おとなしくおもちゃで遊んでいたのに、無言でお漏らししてしまったりします。
これらのことは子どもからの抵抗(反抗)でもあるので、多忙な親からしたら少々煩わしいことでしょう。
もう少し年齢が上の子どもの心理について、巧みに表現された小説があります。
それはパトリック・ネス著『怪物はささやく』です。
映画化されているので、ご存じの方も多いと思います。
ダークファンタジーの児童文学ですが、13歳の主人公の心のありようが、大人の心にもグサグサとリアルに刺さります。
この小説のテーマは離婚した両親ではありませんが、知っているのに周囲が事実を話してくれないことが、かえって本人を苦しめることを痛いほど感じさせます。
ちょっと話がそれてしまいましたが、子どもも家族の一員だからこそ「家族の大切なお話し」からのけ者にしないでくださいね。