日本の法律では世帯ごとに戸籍があり、結婚した夫婦は同一の苗字を名乗ることになっています。
そして結婚した夫婦が離婚する際は、結婚時に改姓した方は、①姓を旧姓に戻すか、②改姓後の姓を名乗り続けるか、選ぶことになっています。
大半のカップルは、結婚時に女性が改姓しています。
つまり、女性が男性の戸籍に入る(=入籍)ことになり、離婚するときは男性の戸籍から抜ける(=除籍)となります。除籍になる方は新たに戸籍を作るか、親の戸籍に戻る(=出戻り)ことになります。
離婚の時点で、戸籍の変遷は
①出生(本人の誕生)届け
②親の戸籍からの除籍 → 結婚のための入籍
③離婚のための除籍 → 離婚後の戸籍 となります。
その後再婚、再々婚をすると、戸籍は上記の②、③の手続きを繰り返すことになります。
結婚・離婚の事実が戸籍にしっかり残るので、いわゆる「戸籍が汚れる」ことになっていきます。
ちなみに離婚すると戸籍に「×」がつくので、ここから「バツイチ」という言葉が生まれました。
住民票に比べて戸籍はそう頻繁に必要になる機会はありませんが、マイホームの取得、子供の入学やパスポート申請の際などに、必要のない個人的な過去まで人の目に触れることになります。
「きれいな戸籍」にするためによく行われているのが、転籍です。
つまり、本籍地を別の住所(他の市区町村)に移してしまうのです。
すると戸籍上には「▲▲県より転籍」として、新しい本籍地からの情報しか記載されなくなります。
新しい本籍地は、現住所である必要はないので、実家、元住んでいた場所、あこがれの住所、所轄の役所の住所など、任意の住所で構いません。
ただし過去の事実が消去されるわけではないので、戸籍をさかのぼれば、結婚や離婚の履歴は残っています。
手続きは現本籍地、新本籍地どちらの役所でもでき、1回で済みます。転籍の理由を言う必要もありません。
離婚経験者にとって転籍は一見便利なように見えますが、当然デメリットもあります。
一番困るのは、本人が死亡した時です。
相続の手続きをする際、遺族は本人の戸籍を出生から死亡時まで連続した戸籍謄本・除籍謄本を申請する必要があります。
転籍が多ければ、それだけ手間とコストがかかります。
身近な人には知らせておいた方が親切かもしれませんね。(エンディングノートの活用もいいですね)
住基ネットが運用されている昨今、戸籍の必要性も問われてきています。
今後戸籍がどうなっていくかわかりませんが、戸籍は生まれてからの履歴です。
転籍の手続きは「戸籍をきれいにする」ことが目的のためにあるのではないので、そのことは心得ておきましょう。