離婚届けに必要事項を記入・署名して、必要書類とともに役所に提出すれば離婚は成立します。
とは言うものの、実際には離婚の合意および条件を取り決めることが一番骨の折れる作業です。
離婚届けに記入するまでの主なプロセスを、ハードルの低い順に並べると以下のようになります。
1 協議離婚 夫婦が話し合いによって合意に至る
↓
2 調停離婚 家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を交えて合意に至る
(またはADR/裁判外紛争解決制度での調停)
↓
3 裁判離婚 地方裁判所に離婚の訴状を作成し、訴えを起こして判決を得る
協議離婚のメリットは話し合いのための手続きの必要がないことです。
デメリットは当事者の知識不足等により、取り決めが不十分であったり、不公平な内容になる可能性があることです。
また口約束では法的拘束力に乏しく、合意内容を公正証書などにしておく必要があります。
調停離婚のメリットは費用が安いこと、非公開であること、取り決めた内容が調停調書という公文書で交付され、法的拘束力が伴うことです。
デメリットは調停が開かれるのは平日のみであること、利用できる家庭裁判所には地域ごとに管轄があること、1~2ヶ月に1回のペースで開かれるので時間がかかることです。
そこで最近はADR(エー・ディー・アール、裁判外紛争解決制度)を利用する人も増えています。
ADRは裁判所ではなく法務大臣の認証を受けた事業所にて非公開で紛争を取り扱います。家裁同様に調停人が介在し、調停合意書が交付されます。
メリットは事業所を選べること、話し合いの日時も選べるので話がまとまるのが早いこと、オンラインでの話し合い(在宅)も可能なケースがあることです。
デメリットは相手方がADR利用に同意しなければこの制度が活用できないこと、家裁の調停に比べて若干費用がかかることです。
裁判離婚は裁判所に離婚の訴状を作成し、訴えを起こします。
尋問・証拠の取調べなどを経て、判決が下されます。
メリットは弁護士に任せておけること、白黒はっきりつけることができることです。
デメリットは裁判が非公開でないこと、法的な専門知識が必要になるので弁護士費用が必要になること、法廷での争いなので解決までに時間がかかることなどです。
ちなみに家裁の調停委員やADRの調停人は、裁判官ではありません。
豊富な社会経験や専門的な知識を持つ人などが選ばれ、年齢は60歳代の人が多く任命されています。
職業は弁護士や医師などの士業、大学教授、公務員が多いようです。
一般市民の良識を反映させるための制度ですが、調停委員も人間である以上、価値観の相違を感じることがあるのは否定できません。
結婚に比べて、離婚には相当のエネルギーが必要という意味の一端がお分かりいただけると思います。
その間の経済的な土台、精神的な支えはいくらあっても足りないことはありません。
途中でエネルギーがなくならないように、いしだたかこが応援しています。